
食農学類長
河野 恵伸
KOUNO Yoshinobu
2019年4月に食農学類が開設され、2026年3月までに4学年約400名が卒業しました。そして2023年4月には、修士課程(2年間)の大学院食農科学研究科がスタートし、2026年3月までに2学年73名が修了しています。食農学類・大学院食農科学研究科は、地域や社会の食と農にかかる諸課題を解決できる人材を育成し、研究を通して未来をひらくこと、東日本大震災・原子力災害で被害を受けた福島県をはじめとする被災地の農業や社会の復興に貢献することを使命としています。在学中、学生たちは実践性と学際性を重視した教育プログラムと研究活動を通して力を磨き、卒業後は行政、企業、教育・研究機関など、社会や大学院の場で活躍しています。
食農学類には、フードシステム全体を見渡せるように「川上から川下まで」に対応した4つのコースがあります。川上には、森林・農地・水域などの環境を対象にその評価・管理・活用・修復について学ぶ生産環境学コースと、作物・園芸植物・畜産物などの生産活動を対象とし安定的で持続可能な農業生産の仕組みを学ぶ農業生産学コース、川中には、食品の分析や製造を中心に食の安全・安心や新たな食品開発につながる知識と技術を学ぶ食品科学コース、川下には、消費者・食品産業・生産者の行動などフードチェーン全体を対象に経営やマーケティングの視点から学ぶ農業経営学コースが配置されています。これら4コースが連携しながら、食農学類が掲げる「実践性、学際性、国際性、貢献性」という理念を具体化する教育・研究を展開しています。
教育カリキュラムの特徴の一例です。全ての学生は、1年次に各コースの「概論」を学ぶとともに、「農場基礎実習」を通じて環境・栽培・加工・経営までの食と農の実際を一体として習得します。2年次後期からは、自分の興味・関心に応じてコースに分かれ、「専門」を体系的に学び始め、4年次の「卒業論文」研究に結実させます。また、全国の大学でも特色のあるプログラムとして注目されているのが、2年次と3年次に開講される「食農実践演習」です。福島県内の自治体をフィールドに、地域や社会が抱える食と農にかかる問題や課題を抽出し、住民や行政と協働しながら課題解決に取り組みます。就職活動におけるエントリーシートや面接で、この演習の経験を語る学生も多く、学生本人の満足度が高い充実した演習科目になっています。
さらに2025年4月、本学は岩手大学大学院連合農学研究科に参画し、博士課程(3年間の課程)が開設されました。岩手大学(基幹大学)、弘前大学、山形大学と合同の研究・教育組織として運営されており、課程修了および博士論文の審査に合格すると「博士」の学位が授与されます。2026年4月現在、本学には13名の博士課程学生が配属され、食と農をめぐる課題に対する高度で先端的な研究に取り組んでいます。
飯舘村のまでい館の石碑に食農学類有志の手によって「福島で世界に羽ばたく人づくり」という言葉が刻まれています。私たちはこの理念を胸に、福島から世界へと通じる食農教育・研究を実践し続けます。世界と日本、そして社会と地域の皆さまから、より一層期待され、その期待に応えられる食農学類・食農科学研究科をめざして。ともに、食と農の未来をつくっていく仲間として、ご参画いただけましたら幸いです。