メニューを飛ばして本文へ

福島大学

Menu

令和6年度(4月期)福島大学入学式「学長歓迎の辞」

 本学に入学・編入学された学士課程、そして大学院生の皆さん、ご入学誠におめでとうございます。


 福島大学を代表して、皆さんの入学をお祝いするとともに、今日から福島大学の一員となられた皆さんを心から歓迎いたします。また、これまでお子様を支えてこられました保護者やご家族の皆様にも、お子様のご入学をお慶び申し上げます。


 新型コロナウイルスに振りまわされた日々も過去のものとなり、実に5年ぶりにコロナ禍前の形で入学式を挙行できたことを、すべての皆様とともに喜び合いたいと思います。


 厳しい受験勉強を乗り越え、晴れて入学された新入生の皆さん、今日から、この福島大学で新しい生活が始まります。学生時代は、おそらく人生の中で最も輝かしい時代となるはずです。皆さんが一日も早く新しい環境に慣れ、光り輝く大学生活を送ることができるよう、私たち教職員全員でしっかりと支えていきたいと思います。


 さて、現代社会は「V・U・C・A」、VUCAと呼ばれています。予測不能、不確実、複雑、曖昧、の英語の頭文字をつないだ造語です。ウクライナやパレスチナで起きている紛争、想定よりもはるかに速く進むわが国の人口減少、人間の能力を超えようとする生成AIそして昨年記録的な暑さとなった異状気象など、多くがこれを象徴しています。様々な問題が政治を複雑なものにし、経済を二極化させ、これまでの常識がことごとく覆されるという、誰も経験したことのない、先行きの見えない時代に私たちはいます。


 本学では教育理念を「問題解決を基盤とした教育」と定め、「解のない問いにチャレンジできる人材」を育てることを目的に掲げています。13年前の東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所事故では、本学は発災直後から被災者への支援活動を行い、これによって他の大学にはないたくさんの学びを得ました。
 避難している子どもたちを支援するボランティア、大きくダメージを受けたコミュニティや産業を取り戻すための取り組み、放射能の動きを調査する研究、等です。これらを通して、問題を解決する方法と答えは複雑な現実の中にしかないということ、新しい問題に対して既に用意されている答えは役に立たず、時間をかけて新しい「答え」を創り出さなければならない、ということを学びました。


 現代社会を生き抜くためには、これから起きる未来を知ることが必要です。それも、これまでのように過去や現在の積み重ねから未来を推測するだけではなく、気候変動や少子高齢化などの予測できる未来を念頭に置き、その危機を回避するために、今、自分は何をしなければならないのかを逆算して導き出す、「バックキャスト」と呼ばれる考え方が重要です。


 大学生活も同じです。大学はやるべきことを与えてくれるところではなく、やりたいことを自分で探す場所です。その際、これまでの自分はこうだったから、これしかできない、ではなく、自分の「ビジョン」を描き、これを実現するためには、今これをやっておかなければならない、という形で、やるべきことを探していくことが重要です。これまでのような「過去」の蓄積だけでなく、「未来」から逆算して学ぶことが重要なのです。


 福島大学には、地域の現実に触れ、未来から学ぶ機会がたくさんあります。皆さんがこのキャンパスの中で、またキャンパスを飛び越えてたくさんの経験を積み、大きく成長してくれることを期待し、歓迎の言葉といたします。


令和6年4月4日
福島大学長 三浦浩喜

ページトップ