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福島大学

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令和5年度(10月期)福島大学入学式「学長歓迎の辞」

 福島大学大学院共生システム理工学研究科、食農科学研究科へのご入学おめでとうございます。福島大学を代表して、本学大学院への入学を心よりお祝い申し上げます。


 本学では教育理念を「問題解決を基盤とした教育」とし、「解のない問いにチャレンジできる人材」の育成を目的に掲げています。12年前の東日本大震災、それに伴う東京電力福島第一原子力発電所事故では、福島大学は発災直後から多くの支援活動を行い、これによって大学はたくさんの学びを得ました。


 大学院生に期待することは、クリエイティブに課題を解決する「イノベーションの担い手」となってほしいということです。イノベーションというと、傑出した天才がもたらす新機軸のことで、自分には遠く及ばない、と思われるかもしれません。


 しかし、イノベーションの原点は、常識的な見方から自由になることです。個々人の研究もまた、自分自身がいかに常識にとらわれていたかに気づくところから始まります。最も重要な研究対象は、自分自身、ということに気づけば、社会の見え方も変わるはずです。


 常識にとらわれた思考は現状を容認してしまいます。「常識」によって知らぬ間に追い詰められているのは、社会的弱者であり、風評被害に苦しむ福島県に生きる人々であることを忘れてはなりません。


 福島大学は地域の人々と共に、この震災復興を歩んできました。人口が急激に減少し、コミュニティの維持が困難となり、経済や環境、エネルギー問題などが噴出した福島は「21世紀的課題が加速した地域」といわれ、福島の課題解決は世界の課題解決ともいわれています。その解決方法は、覚えた公式から導き出せるようなものではありません。複雑に絡み合う現実と格闘し、新たに「答え」をつくり出す以外にありません。


 是非、この福島大学で「解のない問い」に挑戦することの意味を学んでいただきたいと思います。

 研究に励まれ、2年後の修了時には、立派なイノベーションの担い手になっていることを期待し、歓迎の言葉といたします。


令和5年10月2日

福島大学長 三浦浩喜

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