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福島大学

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令和4年度(4月期) 福島大学入学式 「学長歓迎の辞」

 本学に入学・編入学された学士課程の皆さん、そして大学院生の皆さん、ご入学 誠におめでとうございます。

 福島大学を代表して、皆さんの入学をお祝いするとともに、今日から福島大学の一員となられた皆さんを 心から 歓迎いたします。また、これまでお子様を支えてこられました保護者やご家族の皆様にも、お子様のご入学をお慶び申し上げます。

 厳しい受験勉強を乗り越え、晴れて入学された新入生の皆さん、今日から、この福島大学で新しい生活が始まります。皆さんが一日も早く新しい環境に慣れ、実りのある大学生活を送ることができるよう、教職員全員でしっかりと支えていきたいと思います。

 さて、現在、世界は新型コロナウイルス感染症との戦いのさなかにあります。本学でも、授業をオンラインに切り替えたり、行事の開催を自粛したり、学生の自主的活動に制限を設けるなど、様々に手立てを講じてきました。本日の入学式も、密を避けるために2部に分けて実施しています。国内では、第6波が収まりきらないまま、第7波に突入しつつあるといわれており、予断を許さない状況が続いています。大学生活と感染拡大の防止を両立させるためには、一人ひとりが市民としての自覚を持ち、感染しない、感染させない手立てを講ずることが何より大切です。

 このような混乱した状態は本学だけではなく、ほとんどの組織が経験しているかつてない事態です。現代社会は「V・U・C・A」、VUCAと呼ばれています。予測不能、不確実、複雑、曖昧、の英語の頭文字をとった造語です。新型コロナウイルスや、ロシア軍が侵攻し平和が破壊されたウクライナの状況が、これを象徴しています。世界を覆う様々な脅威が、一人ひとりの心理にまで影響を及ぼし、政治を混乱させ、経済を危機にさらし、これがいつまで続くのかわからない、そのような誰も経験したことのない問題状況の中に私たちはいます。

 本学では教育理念を「問題解決を基盤とした教育」とし、「解のない問いにチャレンジできる人材」を育てることを目的に掲げています。11年前の東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所事故では、福島大学は発災直後から被災者への支援活動を行い、これによって他の大学にはないたくさんの学びを得ました。

 避難している子どもたちを支援するボランディア、大きくダメージを受けたコミュニティや産業を取り戻すための活動、放射能の動きを調査する研究、等です。これらを通して、問題を解決する方法と答えは現実社会の中にあるということ、新しい問題にたいして用意されている答えは用をなさず、時間をかけて新しい答え、つまり「新しいやり方」を創り出さなければならない、ということを学びました。

 福島大学に入学した皆さんには、創造的に課題を解決する「イノベーションの担い手」となってもらいたいと思います。イノベーションというと、特別な天才がもたらすもので、自分は遠く及ばない、と思われるかもしれません。しかし、イノベーションの原点は、常識的な見方から自由になることです。一人ひとりの学びも、自分自身がいかに常識にとらわれていたか、気づくところから始まります。社会を変える以上に、自分自身が変わることが大切、ということに気づけば、社会の見え方も変わるはずです。VUCAと呼ばれる困難な社会を切り開けるのは、まさに「学び」なのです。

 その学びは、自由と試行錯誤によってもたらされます。試行錯誤する時間が与えられ、失敗が許されるからこそ、学生時代は、人生の中で最も輝かしい時代となるはずです。自分にとって、そして社会にとって何が一番大切なのかを考える、とても大切な時代となるはずです。

 皆さんがこのキャンパスの中で、またキャンパスを飛び越えてたくさんの経験を積み、大きく成長してくれることを期待し、歓迎の言葉といたします。

令和4年4月4日

福島大学長 三浦浩喜

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