福島大学環境放射能研究所の主催による「第12回研究活動懇談会」が、1月24日に京都大学にて開催されました。環境放射能研究所が研究成果を還元するために平成28年より行われており、12回目となる今回は、京都大学フィールド科学教育研究センター、京都大学大学院情報学研究科との共催として開催されました。
今回の懇談会では、「福島の森・里・川・海の今 ~放射能問題からウナギ・カレイの新発見まで~」と題し、福島の環境を舞台に2つのテーマが設定されました。ひとつは「放射能汚染の影響を受けた福島」で、5名の研究者が農業、森林、野生動物、海中、魚類とそれぞれのエリアで受けた放射能による影響、またその事故から年月を経た現在の状況について発表を行い、放射能の危険性は低いものであることが示唆された一方、依然として研究を継続する必要性があることが話されました。
もうひとつのテーマの「福島の魚類生態」では、4名の研究者が発表を行いました。個体数が増加し、阿武隈川の在来生物への影響が懸念される外来種の「チャネルキャットフィッシュ」や、近年個体数の減少が著しい松川浦の「ニホンウナギ」など、福島に分布する魚類の生態系には様々な問題が起こりつつあり、福島大学と京都大学では、今ある生態系の保全を目的に調査を行っており、その共同研究で明らかになった魚類生態や研究手法について話されました。環境の維持だけでなく、それを利用してきた漁業産業の維持についての議論も行われました。
当日は、市民の方や研究者の方など約120名の参加があり、異なる角度から見た福島の環境問題についての関心が高いことがうかがわれました。
シンポジウムの様子