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福島大学

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平成31年度 福島大学 入学式 学長歓迎の辞

 新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。

 福島大学を代表して、皆さんの入学をお祝いするとともに、今日から福島大学の一員となられた皆さんを心から歓迎いたします。また、これまでお子様を支えてこられましたご両親やご家族の皆様に対しても、お子様のご入学をお慶び申し上げます。

 厳しい受験勉強を頑張り、晴れて入学された皆さんは、福島大学での新しい生活に期待を膨らまされていることと思います。皆さんが一日も早く新しい環境に慣れ、充実した大学生活を送ることができるよう、教職員全員でしっかりと支えていきます。

 さて、この4月1日に新しい元号が決まり、5月から令和元年が始まります。令和元年は、福島大学創立70周年の年であると同時に、新生福島大学の元年でもあります。福島大学は、人文社会科学、理工学、農学を有する総合大学に発展し、本日、新しく、学士課程に農学群食農学類1期生と大学院修士課程に共生システム理工学研究科の環境放射能学専攻の1期生を迎えることが出来ました。 農学の高等教育機関の創設は、福島県にとって「100年の悲願」であるとも言われてきました。都道府県面積全国第3位を誇り、農業生産額も全国有数を誇る福島県は、国公私立大学を含め東北6県で唯一農学部がなかった県であり、不思議なことでありました。そのため、農学系の人材養成は、長きにわたり県外の大学に頼らざるを得ませんでした。 2011年3月の東日本大震災と東京電力福島第一原発事故により、福島県の農業は大きなダメージを受け、8年が過ぎた今も農業の再生と復興が続いております。福島大学の食農学類の開設は、農業関係者、福島県、県内自治体をはじめとした地域の皆さんからの熱い要望と強力な支援によって実現したものです。

 新生福島大学の元年は、この3年にわたり全学的に検討してきた大学教育改革がスタートする年でもあります。本学は、これまでの少人数教育の伝統を継承しつつ、「震災・原発事故からの学びを生かした『問題解決を基盤とした教育』への転換」を教育理念に掲げ、新しい「基盤教育」の充実をはかり、学類を横断した「地域実践特修プログラム」「グローバル特修プログラム」からなる「全学特修領域」を新設し、大学教育におけるアクティブ・ラーニング(能動的学習)を展開するとともに大学教育の内部質保証システムを再構築しました。

 また、国の「地方創生」政策の一環として、平成27年度より「地(知)の拠点大学による地方創生推進事業」(COC+事業)に採択され、福島大学が中心となって、県内の大学、自治体、企業と一緒になって、インターンシップをはじめ若者の地方での働き、定住を進める事業に取り組んでいます。

 新入生の皆さんも「全学特修領域」や「インターンシップ(地方創生推進事業)」を積極的に受講していただけることを期待しています。

 福島大学は、市内から金谷川キャンパスに移転が始まって、今年で40年を迎えます。当初、教育学部と経済学部の2学部でした。その後、行政社会学部、共生システム理工学類ができ、そしてこのたび食農学類ができたことで、5学類となりました。1つのキャンパスにすべての学生がいることによって、基盤教育や一部専門教育での他学類の学生との学び合いがあり、課外活動でも専門分野が異なる学生たちの横断的な交流を図ることができ、有意義で充実した4年間を過ごすことができます。新入生の皆さんも、この金谷川キャンパスでの大学生活を謳歌してほしいと思います。

 さて、これから大学生活を始められる皆さんに、是非とも、実行してほしいことがあります。

 それは、「現地や現場」に足を運び、「現実」を自分の眼と耳と肌で感じ取る姿勢を身につけてほしいと思います。
 2年前の秋に国立大学の学長会議が福島であり、その2日目に福島県沿岸域の被災地の「帰還困難区域」の中などの現地視察を行いました。そのときの学長先生が口をそろえておっしゃったのは、新聞やテレビで報道されている福島の被災状況と自分の眼で見て感じる現実とには大きな落差があるということでした。やはり、実際に被災地の現場に足を運び見てみないとわからない現実があるということです。

 新入生の皆さんも、今年度から本学でスタートする「地域実践特修プログラム」や「グローバル特修プログラム」において、福島県内や海外の「現地や現場」に出かけ、そこの景色やそこに暮らす人々との対話の中から肌で感じ学び取ることが多くあり、そのことを学問的に意味づける作業を是非とも行ってほしいと思います。福島には、そのような現場が多く用意されています。

 結びに、福島大学での4年間の学びが充実したものとなることを願って、歓迎の辞とします。

 本日は、ご入学おめでとうございました。

 平成31年4月4日

福島大学長 中井勝己

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