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福島大学

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平成28度 福島大学入学式 学長歓迎の辞

新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。

 福島大学を代表して、皆さんの入学をお祝いするとともに、今日から福島大学の一員となられた皆さんを心から歓迎いたします。また、これまでお子様を支えてこられましたご両親やご家族の皆様に対しても、お子様のご入学をお慶び申し上げます。

 厳しい受験勉強を頑張り、晴れて入学された皆さんは、福島大学での新しい生活に期待を膨らまされていることと思います。皆さんが一日も早く新しい環境に慣れ、充実した大学生活を送ることができるよう、教職員一同しっかりと支えていきます。

 さて、東日本大震災と福島第一原発事故から5年が過ぎ、この3月には5周年のさまざまな報道がありました。岩手県、宮城県の地震、津波の被害が大きかった沿岸地域は、巨大防潮堤の建設や高台移転工事が進んでいますが、住宅などの再建はまだまだこれからであり、復興は半ばであるとの印象を受けました。
福島県は、原発事故が加わり、今なお約10万人の県民が県内外に避難を余儀なくされています。昨年9月に、全町避難を余儀なくされている町村で初めて楢葉町が避難解除され、さらにこの3月にはJR常磐線の不通区間の再開工事がスタートしたとの明るいニュースも伝わってきています。

 学類に入学された新入生の皆さんの多くは、まさに中学生で大震災を経験しました。皆さんのなかには、仮設住宅などで中学・高校を過ごされてきた方もおられることと思います。あらためて、お見舞い申し上げますとともに、厳しい環境の中で勉学に励まれ、本日、入学式を迎えられた皆さんの頑張りに敬意を表します。

 福島大学では、「地域と共に歩む人材育成大学」をスローガンに、様々な地域との関わりの中での学びを重視しています。震災・原発事故後、平成25年度に採択された文部科学省「地(知)の拠点整備事業」(COC事業)では、「ふくしま未来学」という名称の授業科目の集合体を作り、原子力災害からの経験を踏まえ、地域課題を実践的に学ぶことを通して、未来を創造できる人材を育成すると同時に、地域再生に貢献することを目指しています。
 さらに、国の「地方創生」政策の一環として、昨年度には「地(知)の拠点大学による地方創生推進事業」(COC+事業)に採択され、福島大学が中心となって、県内の大学、福島県、企業と一緒になって、若者の地方での働き、定住を進める事業がスタートしました。
このオール福島によるCOC+事業をに対する期待が様々な企業から寄せられており、しっかりと地方創生に貢献してまいりたいと思います。

 さて、これから大学生活を始められる皆さんに、2つことをお話しします。
まず第1に、現実の社会や政治への関心を持ってほしいことです。大学の4年間に、大学の講義・専門書や新聞・テレビなどで現実の社会や政治に関する情報に敏感になり、自らの考えや意見を述べられる力を身につけてください。今年から、選挙年齢が18才に引き下げられることになり、この夏の参議院議員選挙で18才からの投票が始まり、新入生の皆さんも有権者になります。福島大学でも、昨年から学生達が自主的に選挙啓発の取り組をすすめており、福島市選挙管理委員会において「期日前投票所」を福島大学キャンパスに設置することが決まりました。是非、皆さんも、初めての選挙権行使を福島大学で行ってください。

 第2に、人としての「感性(センス)」を磨く大学生活を送ってください。辞典によると、「感性」は、知性や意志と区別された、感覚、欲求、感情、情緒などにかかわる心の能力だといわれています。人が物事をどのように感じるかという問題です。人間には「五感」があって、目で見る、耳で聴く、鼻で嗅ぐ、舌で味わう、皮膚で感じる能力があります。「人間は社会的動物である」といわれ、社会、やコミュニティの中でいろいろな人と関わりながら生きていかなければなりません。その意味で「周囲の人々への思いやりを感じる」といった「感じる力」を磨いてほしいですし、さらに「物事の本質を見抜く直感力」のような「感性」も磨いてほしいと思います。

 最後に、福島大学での4年間の学びが充実したものになるように、教職員一丸となって皆さんを支援していきたいと思います。
 ご入学おめでとう!

平成28年4月4日 
福島大学長 中井勝己

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