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福島大学

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平成27年度福島大学入学式 学長歓迎の辞

新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。

福島大学を代表して、皆さんの入学をお祝いするとともに、今日から福島大学の仲間となられた皆さんを心から歓迎いたします。大学入学まで皆さんを支えてこられましたご両親やご家族の皆様とともに祝福したいと思います。厳しい受験勉強を頑張り、晴れて入学された皆さんは、福島大学での新しい生活に期待を膨らませていることと思います。皆さんが一日も早く新しい環境に慣れ、充実した学生生活を送ることができるよう、教職員一同しっかりと支えてまいります。

さて、東日本大震災と福島第一原発事故から4年が過ぎました。岩手県、宮城県の被害が大きかった沿岸地域は、防潮堤の建設や高台移転工事が進んでいますが、建物等の再建はまだまだこれからであります。福島県は、それらに福島第一原発事故が加わり、今なお県内外に12万人近い県民が避難生活を余儀なくされています。放射能汚染によって、居住できない地域があり、働く場を奪われ、教育、医療・福祉など、未だに暮らしの根幹は深刻な状況が続いています。ただ、そのような中でも、除染が進み、被災地域の基幹道路が再開されるなど福島の復興が進んでいる面もあります。

学類に入学された皆さんの多くは、中学生の時に大震災を経験しました。皆さんの中には、避難生活を強いられ、中学・高校を過ごされてきた方もおられることと思います。改めて、お見舞い申し上げますとともに、厳しい学習環境の中で勉学に励まれ、本日、入学式を迎えられた皆さんに心からエールを送ります。

福島大学は、「地域と共に歩む人材育成大学」をスローガンに、さまざまな地域との関わりの中で学習することを重要視しています。震災・原発事故後、平成25年度には、文部科学省「地(知)の拠点整備事業」に応募し採択されました。この事業は、「ふくしま未来学」という名称の授業科目の集合体を作り、原子力災害の経験を踏まえて、地域課題を実践的に学ぶことを通して、未来を創造できる人材を育成すると同時に、地域再生に貢献することを目指しています。昨年度から授業がスタートし多くの学生が受講していますが、その中で、特に地域実践科目として位置づけている「むらの大学」という授業では、南相馬市、川内村で2週間の宿泊体験を行いながら、市長・村長をはじめ地元の震災復興に関わる人々から多くの学びを得ました。新入生の皆さんも、是非この「ふくしま未来学」を受講し、「被災地からの学び」を始めてほしいと思います。

さらに、学生たちの課外活動も活発です。本学は、この金谷川キャンパスに全学生、教職員がいます。その意味で、学類を越えて文系と理系の学生が交流し、活動することができ、現在、公認サークル73団体、非公認サークル42団体の他、災害ボランティアセンター195名、うつくしまふくしま未来支援センターの学生サポーター51名など、多くの学生が自主的な活動を行っています。皆さんもこれらの活動に積極的に参加されることを期待しています。

さて、これから大学生活を始められる皆さんに、2つのことをお話します。
  まず第1に、専門的な学問分野の学びと並行して、学生生活の中で活動の「拠点」(コミュニティ)を見つけてください。新入生の皆さんの中には、やりたいことが具体的で明確な方もいれば、入学してからじっくり見つけるという方もいるでしょう。例えば、正課の授業のゼミを中心に「拠点」をつくる人もいれば、課外活動やボランティア活動で「拠点」ができる人もいるでしょう。その「拠点」で同級生や先輩後輩との友人関係が形成され、大学生活をより充実したものにすることができると思います。人と人とのつながりが、これからの人生にとってとても大切なことと考えます。是非、自分なりの「拠点」を探して、積極的に「拠点づくり」をしてください。

第2に、「市民社会の一員」となれる大学生になってください。ここで言う「市民社会」とは、「契約社会」を指しており、「結んだ約束は守る」「守れない約束は結ばない」ということです。日常生活の中でも、些細な約束事から重大な約束事まで様々ありますが、結んだ約束を守らない人は周りからの信用をなくしていきます。そして、最悪の場合、「市民社会の一員」とは見なされなくなります。些細なことを含め約束を守ることが、周りからの信頼、社会からの信頼を得ることになっていきます。しばしば、「礼儀正しい人」や「挨拶がきちんとできる人」が社会人の第一条件と言われることがあります。皆さんも、大学生活の様々な体験の中で、「市民社会の一員」となれるように成長してください。

最後に、福島大学での4年間の学びが皆さんの将来に向けて実り多いものになるように、祈念します。そしてそのために教職員は一丸となって皆さんをサポートしていきたいと思います。
  ご入学おめでとう!

平成27年4月6日
福島大学長 中井 勝己

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