メニューを飛ばして本文へ

福島大学

Menu

学長挨拶

m1.jpg

   2021年の今年、あの忌まわしい東日本大震災・東京電力福島第一原子力発電所事故から10年を迎え、あの時の思いと記憶を再確認するとともに、後世に伝えるために特設ページを設けました。

   10年前、東北地方の南端に位置する、どこにでもある多くの田舎町を抱える福島県は、原発事故の「Fukushima」として、世界中にその名を知られることとなりました。多くの支援や同情、それに加えて多くの誹謗中傷や差別を受けました。大混乱の中で「10年後、この地域はどうなっているのか、自分はどこで生きているのか」と思いを馳せたことでしょう。
   まさか10年後の世界で、当時存在しなかった新型コロナウイルス感染症が猛威を振るい、1億人もの感染者と200万人もの死者を出すことなど誰が予想したことでしょうか。全国に緊急事態宣言が出され、感染防止のためにあらゆる行動のスタイルが変わることを誰が予想したでしょうか。すべての授業がオンラインとなり、学生のいないキャンパスが何ヵ月も続くことを誰が予想したでしょうか。
   自然災害が深層から社会の形を変えるという意味で、現在と10年前がシンクロしているように感じるのはこの地域に住む多くの人々の間で共通していると思います。出口の見えない暗闇の中から一筋の光を見出し、その方向に向かって、様々な方向から愚直に歩を進めること、一人ひとりの生き方のみならず、社会のあり方、ひいては社会の作り直しが迫られているという点で、既視感を感じないではいられません。

   本来であれば、多くの失われた命を思い、数限りない悲しみやご苦労をねぎらい、そしてそこからの歩みを確認する場として、震災10年のイベントを対面で実施すべきところでありますが、このコロナ禍のためにオンラインで思いを共有できればと考えました。むしろ、オンラインの強みを活かして「絆」を強めていただければと思います。

令和3年2月3日
三浦浩喜

ページトップ