福島大学 学長
中井 勝己
Katsumi Nakai
福島大学は、第3期中期目標において、東日本大震災と福島第一原発事故からの学びを活かし、「新たな地域社会の創造」に貢献できる"地域と共に歩む人材育成大学"としての使命を果たすとともに、「21世紀的課題」が加速された福島における中核的学術拠点として、一層の発展をめざすことを謳っています。
福島県は震災・原発事故から8年目に入りましたが、今なお5万人弱の県民が県内外に避難生活を余儀なくされています。被災地にある福島大学は、発災直後の平成23年4月に「うつくしまふくしま未来支援センター(FURE)」を立ち上げ、本学の専門性を活かして被災者・被災地域の支援活動を行ってきました。さらに、本学は長期にわたる放射能汚染の自然環境への影響を調査研究する機関として、平成25年7月に「環境放射能研究所(IER)」を設置し、国内外の研究者を招聘し、国際的な研究拠点の形成を図っています。
人材育成の面では、平成29年度で終了した文部科学省「地(知)の拠点整備事業(COC事業)」「原子力災害からの地域再生をめざす『ふくしま未来学』の展開」(平成25年度~29年度)を平成30年度も実施し、復興の担い手となる若者の人材育成を継続しています。加えて、平成27年度文部科学省「地(知)の拠点大学による地方創生推進事業(COC+事業)」「ふくしまの未来を担う地域循環型人材育成の展開」(平成27年度~31年度)では、COC事業「ふくしま未来学」の学習成果をもとに、インターンシップをはじめ、若者の地方での働きや定住を促進する取り組みを進めています。
現在、福島大学は、「中井プラン2021改訂版」(平成29年1月改定)をもとに、福島の農業の復興・再生に資する人材を育成する「食農学類(仮称)」を平成31年4月に設置するべく鋭意準備を進めています。また、既存学類もリニューアルし、各学類の特色をさらに深化させると同時に、全学のカリキュラムも抜本的に見直し、『ふくしま未来学』等で培った地域実践型の学びを盛り込んだ教育改革も行います。
来年の春には新しく生まれ変わった福島大学の姿を地域の皆さまにお見せできるよう努力してまいりますので、引き続き「地域と共に歩む」福島大学にご支援いただけますよう宜しくお願いいたします。