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福島大学

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福島大学ミッション2030

1.はじめに

日本社会は、既に急激な人口減少・少子高齢化期を迎え、現下の新型コロナウイルスによって未曾有の経済危機が進行する一方で、後れていたICT化の急激な進展が進むなど、まさにVUCA(気まぐれで、不確かで、複雑で、曖昧な)の真っ直中にあると言えます。福島県は、震災・原発事故からの復興という大きな課題を抱えつつ、都道府県別の人口減少率推計では高い方から6位以内にあり、先頃人口推計を下方修正するなど深刻の度合いがより深まっています。

国立大学法人の第4期中期目標中期計画期間(2022年~2028年)に向け、2030年までの10年間に遂行すべき本学のミッションを、「福島大学ミッション2030」として示します。

2.福島大学のあり方

(1)基本理念

福島大学は高等教育機関として、東日本大震災とそれに伴う原発事故を経験し、他大学に先駆けて教育やコミュニティ、環境、エネルギー、農業などの様々な問題に組織的・総合的に取り組んできました。これらの知見を集積させ、「地域と共に21 世紀的課題に立ち向かう大学」として、目の前の問題解決に取り組みながら、新しい時代の社会システムを提案できる大学を目指します。

(2)2030年を見据えた大学

1新しい社会と大学

本学が標榜する社会は、都市型の文化や経済発展を前提とした一元的な価値観から脱し、地方分散型で経済の低成長時代を人間的に、そして創造的に生きていく知恵と技術によって営まれるよりよい社会です。本学は、不可避の人口減少・少子高齢社会期にあっても、一人ひとりが豊かに、希望に満ちて生きていけるライフスタイルを創造し、個人のWell-being、社会のWell-beingの実現をめざす大学でありたいと考えます。

2第4期における大学のあり方

大学は、社会に開かれ、異質な人々が出会う場であり、構成員はこれからあるべき社会の姿をともに考え、それを組み立てていくための思想や価値観、知識や技術、構想力や実践力を身につけていく必要があります。大学こそが試行錯誤し、実践と反省を繰り返しながら新しい社会を生み出す「社会づくりの実験室」であるべきで、常に地域社会に希望と見通しを示すことのできる大学であるべきだと考えます。5つの学類を有する福島大学は小規模ながらも総合大学として、社会づくりに必要な分野のほとんどを備えています。

3人材育成方針

福島大学は、アカデミックな学びと震災・原発事故からの経験を活かし、10年先の課題を見すえた、地域および世界の「21世紀的課題」に取り組むイノベーション人材の育成を目標に掲げます。イノベーション人材とは、既存の常識にとらわれず未来志向的で、社会のハブとして、困難な問題解決に挑み、社会の価値観や技術を創造的に再構成しようと挑む人材、もしくは結果を出せる人材とします。

3.各分野の方向性

(1)教育のあり方

地域の現状・課題と大学での学びを重合させ、地域実践型プロジェクト学習を拡大し、さらなる教育効果の向上を図り、「解のない問い」にチャレンジするイノベーション人材の育成を推進します。人材育成方針をすべての教育課程に通貫させることで、学士課程から修士課程までの教育をシームレスにつなぎます。
「新しい社会づくり」に寄与できる特徴ある教育システム、すなわち、基礎的な知識の修得と実社会での応用、地域と世界の問題発見、異世代も含めた異文化コミュニケーション、問題解決にむけた主体的な学習、などが高度に融合された学びを構築します。
さらに、VUCA 社会を乗り越えるためのPBL(プロジェクト学習)、ICT、STEAM(科学・技術・工学・芸術・数学の融合した教育)、グローバル、シティズンシップ等各教育の充実を図ります。

(2)研究のあり方

新しい社会づくり、新しいライフスタイルの創造のために、人文・社会・理工・農の各分野の高度な融合と総合性を実現させるために、異分野間の共同研究を推進していきます。
地域課題・21 世紀的課題に対応した基盤的研究を政策的に強化するとともに、既存の学類・研究科の研究の「強み」を伸ばしていきます。
現在検討されている発酵醸造研究所を具体化させ、浜通り地域の国際教育研究拠点へ積極的に参画し、大学全体の研究・実践フィールドとして位置づけていきます。

(3)地域貢献のあり方

大学としてなすべき社会貢献の在り方を再構築して重点化を図ります。その際、単なる人的資源の提供ではなく、アクション・リサーチのように教育・研究に還元される仕組みをデザインする必要があります。
そのため、地域と協働し、学生の学びの場・研究のフィールド・地域の課題解決の3つの領域を有機的に融合させることで、地域と共に「新しい社会づくり」を推進します。
さらに、社会の動きに事後的に対応するだけではなく、地域社会に新しい形を提案し、10 年後を見すえた地域の在り方を追求していきます。

(4)教員養成・附属学校園のあり方

少子化による教員需要の減少への対応、既存の教員養成体系に留まらない教育者養成の高度化を図り、PBLやアクティブ・ラーニング、ICT活用等を指導できる人材の養成をめざします。
附属学校園は、中長期的な視野に立ち、少子化を踏まえ経営のあり方の変更も視野に入れた抜本的な改革を行い、全学附属校園としてのメリットを活かした特徴を組み込んでいきます。

(5)組織および運営のあり方

「地域と共に21 世紀的課題に立ち向かう大学」としての教育・研究・地域貢献を可能とする新たな教育研究組織を構築します。
特に、大学院改革を皮切りに、教育組織である学類、研究組織である学系、及び研究科の関係性を整理し、教育と研究を車の両輪として一体的に行うことが可能となる新しい学士・修士課程を創造します。
また、地方創生を目的とした定員増も見すえ、本学の発展をめざします。
これらの実現のために、学長及び役員会のリーダーシップのもと、社会をけん引する大学としての活力に満ちた大学運営を行います。

4.改革の進め方

これらの課題はいずれもが有機的に関連しており、財政健全化を柱にして、本学としての高等教育のエコシステムの構築を追究していきます。これまでのような対症療法ではなく、長期的に持続可能な新しい大学への転換をめざし改革を進めていきます。
スリム化とイノベーションによる強化を進め、本学の「強み」を先鋭化させるとともに、無駄の削減、機能統合を推し進めていきます。
県内唯一の国立大学としてリーダーシップを発揮し、県内外の高等教育機関との連携を強化し、機能の共有・協働も実質化していきます。
第3期中に新しい大学の構想案をとりまとめ、第4期中に具体化を推し進め、第4期終了時点までに新しい大学として完成させることをめざします。

福島大学ミッション2030

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