学長メッセージ

大学院の力で
地域にイノベーションを

福島大学学長 三浦 浩喜

令和5年4月に福島大学大学院がリニューアルします。福島県の農業再生を加速させる「食農科学研究科」を新設するとともに、教職大学院を「教職実践研究科」として独立させ、人文系・社会系の既存3研究科を「地域デザイン科学研究科」へと統合し、「共生システム理工学研究科」の学際的研究を強化します。
福島大学は2011年の東日本大震災以降、被災地の支援に取り組み、地域に根ざした教育研究のモデルとして、国内外にその存在意義を発信し続けてきました。
福島県は、大震災と原発事故により今なお多くの課題を抱えています。それは単に一時期の一地域の課題であるばかりでなく、先進国がこれから直面する課題を一歩先んじて体験しているということでもあります。つまり、福島県の課題は、世界が解決しなければならない課題なのです。
そして現在、社会はVUCA(予測不能で、不確かで、複雑で、曖昧な)と呼ばれ、人口変動やコミュニティの揺らぎ、エネルギーや水・食糧問題、資源や環境の悪化、さらには、目下の新型コロナウイルス感染症やウクライナ問題等、見通しを持つことが極めて困難な情況となっています。
福島大学大学院は、こうした課題に取り組むために、大学院全体の目標を「イノベーション人材の養成」に改め、地域のフィールドワークやプロジェクト型のカリキュラムを導入し、これまでのアカデミックな力に留まらず、企画力や実践力も含めた能力を育んでいきます。
困難な時代を切り拓いていくのは、大学院レベルの知識や技術を身に付けた人材です。今こそ、地域に大学院人材が必要です。

大学院の特徴

社会を変革できる人材を養成

これまでの常識や慣例にとらわれることなく、確かな課題意識と豊かな想像力と着実な実践力をもって、地域および世界の21世紀的課題に果敢に挑み社会に変革をもたらす、「イノベーション人材」を養成します。
今やイノベーションは、スマートフォンや自動運転などの世界を変えてしまうレベルから、目の前の生活を改善していくレベルまで、あらゆるレベルで必要とされています。これまでのものごとのあり方を見直し、新機軸を提案できる人材養成をめざします。

個々の大学院生に合わせた 学びを展開

大学院での学びの基本は「専門性を深める」ことにありますが、今日においては、「俯瞰性・学際性」や「課題解決力」、「コミュニケーション能力」なども求められます。福島大学大学院では、人文・社会・自然という枠組みを超えた「総合知」の修得をめざして、高度な専門性を軸に「学際性重視型」と「専門性重視型」の2つの履修パターンを設定※し、大学院基盤科目「イノベーション・リテラシー」の必修化、「プロジェクト研究」「課題対応型プログラム」などを導入し、自分のニーズや興味・関心に合わせた学びを展開することができます。

※〈教職実践研究科〉及び〈地域デザイン科学研究科人間文化専攻人間発達心理コース臨床心理領域〉では、履修基準が異なるため「専門性重視型」のみとなります。〈食農科学研究科〉は、開設時は「専門性重視型」のみ設定し、3年目以降に「学際性重視型」の履修パターンを設定する予定です。

新しい大学院のカタチ

【修士課程・博士前期課程・専門職学位課程】

再編後(令和5年4月)【119名】

地域デザイン科学研究科【42名】

新設

人間文化専攻(修士課程 20名)

○言語文化コース ○地域文化コース
○スポーツ・芸術文化コース ○人間発達心理コース

学位

修士(人間文化)

分野

教育学・保育学関係

学位

修士(人間文化)

分野

教育学・保育学関係

地域政策科学専攻(修士課程 8名)

○法・政策コース ○コミュニティ探究コース

学位

修士(地域政策)

分野

法学関係、社会学・ 社会福祉学関係

学位

修士(地域政策)

分野

法学関係、社会学・ 社会福祉学関係

経済経営専攻(修士課程 14名)

○経済学コース ○経営学コース

学位

修士(経済学)

分野

経済学関係

学位

修士(経済学)

分野

経済学関係

教職実践研究科 (教職大学院)【12名】

新設

教職高度化専攻(専門職学位課程 12名)

○ミドル・リーダー養成コース ○授業デザインコース
○特別支援教育コース

学位

教職修士(専門職)

分野

教員養成関係

学位

教職修士(専門職)

分野

教員養成関係

共生システム理工学研究科【45名】

教育課程の見直し

共生システム理工学専攻(博士前期課程 40名)

○数理・情報システムコース ○物理・メカトロニクスコース
○物質・エネルギー科学コース ○生命・環境コース

学位

修士(理工学)

分野

理学関係、工学関係

学位

修士(理工学)

分野

理学関係、工学関係

環境放射能学専攻(博士前期課程 5名)

○環境放射能学コース

学位

修士(理工学)

分野

理学関係、工学関係

学位

修士(理工学)

分野

理学関係、工学関係

食農科学研究科【20名】

新設

食農科学専攻(修士課程 20名)

○食品科学コース ○農業生産科学コース
○生産環境科学コース ○農業経営科学コース

学位

修士(農学)

分野

農学関係

学位

修士(農学)

分野

農学関係

研究科の紹介

学生インタビュー

美術で地域を変えていく。
人の気持ちに寄り添いながら、
想像を超える感動を。

地域デザイン科学研究科

人間文化専攻

たくさんの人と触れ合っていく中で、
自分の考えが明確になっていく。
そのプロセスが学びの醍醐味です。

地域デザイン科学研究科

地域政策科学専攻

実際の現場はどうなのか?
理論の先にあるものを
大学院は照らしてくれる。

地域デザイン科学研究科

経済経営専攻

自分たちの暮らす地域の
魅力や素晴らしさを
子どもたちに伝えるために。

教職実践研究科(教職大学院)

教職高度化専攻

廃炉研究の最前線に立つ人たちの情熱を
地域にどうやって発信していくか。
それが私の新しい研究テーマです。

共生システム理工学研究科

共生システム理工学専攻

福島の原発事故の研究は、
日本の様々な問題につながっている。
柔軟に未来を考える仲間がここに。

共生システム理工学研究科

環境放射能学専攻

農業を空から考えるリモートセンシング。
「福島の農業」をたくさんの人たちと
ふれあいながら変えていきたい。

食農科学研究科

食農科学専攻

農産物の栄養特性を
「可視化」する。
福島発、ブランド戦略

食農科学研究科

食農科学専攻