○国立大学法人福島大学の保有する個人情報の開示決定等に関する取扱要項

平成17年4月1日

国立大学法人福島大学(以下「本学」という。)の保有個人情報について開示請求・訂正請求・利用停止請求(以下「開示請求等」という。)がなされた場合、個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号。以下「法」という。)及び行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(平成25年法律第27号。以下「番号法」という。)に基づく以下の要項による適正な審査の上、決定を行う。

一 開示又は不開示の審査基準

法第82条に基づく開示又は不開示の決定は、以下により行う。

1 開示する旨の決定(法第82条第1項)は、次のいずれかに該当する場合に行う。

(1) 開示請求に係る保有個人情報に不開示情報が含まれていない場合(法第78条)

(2) 開示請求に係る保有個人情報の一部に不開示情報が含まれている場合であって、当該不開示情報に該当する部分を容易に区分して除くことができるとき。ただし、この場合には、不開示情報に該当する部分を除いて開示する(法第79条)

(3) 開示請求に係る保有個人情報に不開示情報が含まれている場合であっても、個人の権利利益を保護するために特に当該保有個人情報を開示する必要があると認めるとき(法第80条)

2 開示しない旨の決定(法第82条第2項)は、次のいずれかに該当する場合に行う。

(1) 開示請求に係る保有個人情報すべてが不開示情報に該当する場合(開示請求に係る保有個人情報の一部に不開示情報が含まれている場合であって、当該不開示情報に該当する部分を他の部分と容易に区分して除くことができない場合を含む。)

(2) 開示請求に係る保有個人情報が存在しているか否かを答えるだけで、不開示情報を開示することになる場合(法第81条)

(3) 開示請求に係る保有個人情報を本学において保有していない場合又は開示請求の対象が法第124条第2項に該当する場合(まだ分類その他整理が行われていないもので、同一の利用目的に係るものが著しく大量にあるためその中から特定の保有個人情報を検索することが著しく困難である場合)若しくは法第60条第1項に規定する保有個人情報に該当しない場合

(4) 法以外の法律における適用除外規定により開示請求の対象外のもの(訴訟に関する書類等)である場合

(5) 開示請求書に法第77条第1項各号に規定する事項の記載が不備である場合若しくは同条第2項に規定する開示請求に係る保有個人情報の本人であること(未成年者若しくは成年被後見人の法定代理人又は本人の委任による代理人であること)を示す書類に不備がある場合又は開示請求手数料が納付されていない場合。ただし、当該不備を補正することができると認められる場合は、原則として、開示請求者に補正を求めるものとする。

(6) 開示請求が権利濫用に当たる場合。この場合において、権利濫用に当たるか否かの判断は、開示請求の態様、開示請求に応じた場合の行政機関の業務への支障等を勘案し、社会通念上妥当と認められる範囲を超えるものであるか否かを個別に判断して行う。行政機関の事務を混乱又は停滞させることを目的とする等開示請求権の本来の目的を著しく逸脱する開示請求は、権利の濫用にあたる。

3 前2項の判断に当たっては、保有個人情報に該当するかどうかの判断は「二 保有個人情報の該当性に関する基準」に、開示請求に係る保有個人情報に記録されている情報が不開示情報に該当するかどうかの判断は「三 不開示情報該当性に関する基準」に、部分開示をすべき場合に該当するかどうかの判断は「四 部分開示に関する基準」に、裁量的開示ができる場合に該当するかどうかの判断は「五 裁量的開示に関する基準」に、保有個人情報の存否を明らかにしないで開示請求を拒否すべき場合に該当するかどうかの判断は「六 保有個人情報の存否に関する情報に関する基準」に、それぞれよる。

4 開示する保有個人情報の利用目的については、利用目的を本人に明示することにより、本人若しくは第三者の権利利益を害するおそれ又は国の機関等が行う事務若しくは事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある場合は、通知することを要しない(法第82条ただし書)

二 保有個人情報の該当性に関する基準

開示請求の対象が法第60条第1項に規定する保有個人情報に該当するかどうかの判断は、以下の基準により行う。

1 「保有個人情報」とは、本学の役員又は職員が職務上作成し、又は取得した個人情報であって、役員又は職員が組織的に利用するものとして本学が保有しているものをいう。ただし、独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律(平成13年法律第140号)第2条第2項に規定する法人文書に記録されているものに限る(法第60条第1項)

2 「個人情報」とは、生存する個人の情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述により特定の個人を識別できるもの(他の情報と照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)をいう(法第2条第1項)

3 「本学の役員又は職員が職務上作成し、又は取得した」とは、本学の役員又は職員が割り当てられた仕事を遂行する立場で作成し又は取得したことをいう。

4 「組織的に利用する」とは、作成又は取得に関与した役員又は職員個人の段階のものでなく、組織の業務上必要な情報として利用することをいう。

5 「本学が保有している」とは、本学が当該個人情報について事実上支配している状態(当該個人情報の利用、提供、廃棄等の取扱いについて判断する権限を有している状態を意味する。)をいう。したがって、例えば、個人情報が記録されている媒体を書庫等で保管し、又は倉庫業者等に保管させている場合は含まれるが、民間事業者が管理するデータベースを利用する場合は含まれない。

6 「法人文書に記録されているものに限る」とは、保有個人情報が文書、図画、電磁的記録等何らかの媒体に記録されているものでなければならないことをいう。したがって、役員又は職員が単に記憶しているにすぎないものは、保有個人情報には該当しない。また、新聞、雑誌、書籍その他不特定多数の者に販売することを目的として発行されるものに記録されているものも、これらの法人文書に該当しないため保有個人情報に該当しない。

三 不開示情報該当性に関する基準

開示請求に係る保有個人情報が次に該当する場合は、不開示情報とする。なお、当該判断は、開示決定等を行う時点における状況に基づき行う。

1 開示請求者本人の生命、健康、生活又は財産を害するおそれがある情報(法第78条第1号)

本号が適用されるのは、開示することが深刻な問題を引き起こす可能性がある場合であり、その運用に当たっては、具体的ケースに即して慎重に判断する必要がある。

2 開示請求者以外の個人に関する情報(法第78条第2号)

開示請求者以外の個人に関する情報(事業を営む個人の当該事業に関する情報を除く。)であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により開示請求者以外の特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することにより、開示請求者以外の特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)、又は開示請求者以外の特定の個人を識別することはできないが、開示することにより、なお開示請求者以外の個人の権利利益を害するおそれがあるもの。

(1) 「個人に関する情報」とは、「個人情報」とは異なり、生存する個人に関する情報のほか、死亡した個人に関する情報も含まれる。

(2) 「事業を営む個人の当該事業に関する情報」とは、個人に関する情報に含まれるが、当該事業に関する情報であるので、法人等に関する情報と同様の要件により不開示情報該当性を判断することが適当であるとの趣旨からここでは除外される。

(3) 「その他の記述等」とは、氏名及び生年月日以外の記述又は個人別に付された番号その他の符号をいい、映像や音声も、それによって特定の個人を識別できることができる限りにおいて含まれる。

(4) 照合の対象となる「他の情報」には、その保有者が他の機関である場合のほか、公知の情報や、図書館等の公共施設で一般に入手可能なものなど一般人が通常入手し得る情報が含まれ、特別の調査をすれば入手し得るかもしれないような情報については、通例「他の情報」に含まれない。しかし、事案によっては、個人の権利利益を保護する観点からは、個人情報の取扱いに当たって、より慎重な判断が求められる場合があり、当該個人を識別するために実施可能と考えられる手段について、その手段を実施するものと考えられる人物が誰であるか等をも視野に入れつつ、合理的な範囲で判断する。

(5) 「開示することにより、なお開示請求者以外の個人の権利利益を害するおそれがあるもの」とは、匿名の作文や、無記名の個人の著作物等、個人の人格と密接に関連したり、開示すれば財産権その他の個人の正当な利益を害するおそれがあると認められるものをいう。

ただし、次の情報を除く。

① 法令の規定により又は慣行として開示請求者が知ることができ、又は知ることが予定されている情報(法第78条第2号イ)

ア 「法令の規定」には、何人に対しても開示することを定めている規定のほか、特定範囲の者に限り開示することを定めている規定が含まれる。

イ 「慣行」とは、慣習法としての法規範的根拠を要せず、事実上の慣習として知ることができ、又は知ることが予定されていることで足りる。例えば、請求者の家族構成に関する情報(妻子の名前や年齢、職業等)等である。ただし、当該保有個人情報と同種の情報について、本人が知ることができた事例があったとしても、それが個別的な事例にとどまる限り、「慣行」にはあたらない。

ウ 「知ることが予定されている」とは、実際には知らされていないが、将来的に知らされることが予定されている場合をいう。なお、「予定」とは将来知らされることが具体的に決定していることは要しないが、当該情報の性質、利用目的等に照らして通例知らされるべきものと考えられることをいう。

② 人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、開示することが必要であると認められる情報(法第78条第2号ロ)

開示請求者以外の個人に関する情報について、不開示にすることにより保護される開示請求者以外の個人の権利利益よりも、開示請求者を含む人の生命、健康等の利益を保護することの必要性が上回るときには、当該情報を開示する。現実に、人の生命、健康等に被害が発生している場合に限らず、将来これらが侵害される蓋然性が高い場合も含まれる。

この比較衡量に当たっては、個人の権利利益には様々なものがあり、また、人の生命、健康、生活又は財産の保護にも、保護すべき権利利益の程度に差があることから、個別の事案に応じた慎重な検討を行うものとする。

③ 公務員等の職務の遂行に係る情報であるときは、当該情報のうち当該公務員等の職及び当該職務遂行の内容に係る部分(法第78条第2号ハ)

公務員等が行政機関その他の機関、独立行政法人、地方公共団体又は地方独立行政法人の一員として、その担当する職務を遂行する場合における当該活動についての情報(苦情相談に対する担当職員の応対内容に関する情報など)であり、その職名と職務遂行の内容については不開示としない。

公務員等の氏名については、開示した場合、公務員等の私生活に影響を及ぼすおそれがあり得ることから個人情報として保護に値するとした上で、①に該当する場合(法第78条第2号イ)には開示する。例えば人事異動の官報への掲載その他行政機関等により職名と氏名を公表する慣行がある場合、公表を予定して行政機関等によって作成され、販売されている職員録に職と氏名が公表されている場合は、「慣行として開示請求者が知ることができ、又は知ることが予定されている」場合に該当する。

3 法人その他の団体に関する情報又は開示請求者以外の事業を営む個人の当該事業に関する情報(法第78条第3号)

法人その他の団体に関する情報又は開示請求者以外の事業を営む個人の当該事業に関する情報であって、次に掲げるもの。

① 開示することにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの(法第78条第3号イ)

ア 「権利」とは、信教の自由、集会・結社の自由、学問の自由、財産権等法的保護に値する権利一切をいう。

イ 「競争上の地位」とは、法人等又は事業を営む個人の公正な競争関係における地位をいう。

ウ 「その他正当な利益」には、ノウハウ、信用等法人等又は事業を営む個人の運営上の地位が広く含まれる。

エ 「害するおそれ」があるかどうかの判断に当たっては、法人等又は事業を営む個人には様々な種類及び性格のものがあり、その権利利益にも様々のものがあるので、法人等又は事業を営む個人の性格、権利利益の内容及び性質等に応じ、当該法人等又は事業を営む個人の権利の保護の必要性等を十分に考慮して適切に判断するものとする。なお、この「おそれ」の判断に当たっては、単なる可能性ではなく、法的保護に値する蓋然性が求められる。

② 独立行政法人等の要請を受けて、開示しないとの条件で任意に提供されているものであって、法人等又は個人における通例として開示しないこととされているものその他の当該条件を付することが当該情報の性質、当時の状況等に照らして合理的であると認められるもの(法第78条第3号ロ)

ア 法人等又は事業を営む個人から開示しないとの条件のもとに任意に提供された情報については、当該条件が合理的なものと認められる限り、不開示情報とするものである。

イ 「独立行政法人等の要請」を受けずに、提供された情報は含まれない。しかし、提供に先立って、法人等又は事業を営む個人の側から開示しないとの条件が提示され、独立行政法人等が合理的であるとしてこれを受諾した上で提供を受けた場合は含む。

ウ 「開示しないとの条件」とは、第三者に対して当該情報を提供しないとの条件を意味する。また、特定の利用目的以外の目的には使用しないとの条件も含まれる。

エ 「条件」については、本学の側から開示しないとの条件で情報の提供を申し入れた場合も、法人等又は事業を営む個人の側から開示しないとの条件を付すことを申し出た場合も含まれるが、いずれの場合も双方の合意により成立するものである。また、条件を設ける方法としては、黙示的なものも含まれる。

オ 開示しないことが「通例」であるとは、当該法人等又は個人の個別具体的な事情ではなく、当該法人等又は個人が属する業界における通常の取扱いを意味し、当該法人等又は個人において開示しないこととしているだけでは足りない。

カ 「開示しないとの条件」の合理性判断にあたっては、情報の性質に応じ、当該情報の提供当時の諸般の事情を考慮して判断するが、必要に応じ、その後の事情の変化も考慮する。開示しないとの条件が付されていても、現に当該情報が公になっていたり、同種の情報が既に開示されているなどの事情がある場合には、該当しない。

ただし、非開示とすることができる上記①②であっても、「人の生命、健康、生活又は財産を保護するため」開示を必要とする場合は、開示しなければならない。つまり当該情報を不開示にすることによって保護される権利利益と、開示することによって保護される人の生命、健康等の利益とを比較衡量して、後者の利益を守る必要性が上回るときには、開示しなければならない。

(1) 「法人その他の団体」には、株式会社等の商法(明治32年法律第48号)上の会社、財団法人、学校法人、宗教法人等の民間の法人のほか、政治団体、外国法人、権利能力なき社団等も入る。ただし、国、独立行政法人等、地方公共団体及び地方独立行政法人は、法第78条第3号の対象から除かれており、その事務又は事業に係る情報は、法第78条第7号(本要項5)の規定に基づき判断する。

(2) 「法人その他の団体に関する情報」とは、法人等の組織や事業に関する情報のほか、法人等の権利利益に関する情報等法人等と関連性を有する情報を意味する。なお法人等の構成員に関する情報は、法人等に関する情報であると同時に、構成員各個人に関する情報でもあり、法第78条第2号の不開示事由に当たるかどうかも検討する必要がある。

(3) 「事業を営む個人の当該事業に関する情報」は、事業に関する情報であるので、法人等に関する情報と同様の要件により、事業を営む上での正当な利益等について不開示情報該当性を判断することになる。

4 国の機関等の審議・検討等情報(法第78条第6号)

国の機関、独立行政法人等、地方公共団体及び地方独立行政法人(以下「国の機関等」という。)の内部又は相互間における審議、検討又は協議に関する情報であって、開示することにより、①率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ、②不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれ、又は③特定の者に不当に利益を与え若しくは不利益を及ぼすおそれがあるものについては、不開示とすることができる。

(1) 「国の機関」とは、国会、内閣、裁判所及び会計検査院並びにこれらに属する機関を指し、「内部又は相互間における審議、検討又は協議に関する情報」とは、これらの国の機関、独立行政法人等、地方公共団体及び地方独立行政法人の事務及び事業について意思決定が行われる場合に、その決定に至るまでの過程の各段階において行われている、例えば、具体的な意思決定の前段階としての政策等の選択肢に関する自由討議のようなものから、一定の責任者の段階での意思統一を図るための協議や打合せ、決裁を前提とした説明や検討、審議会等又は行政機関が開催する有識者等を交えた研究会等における審議や検討など、様々な審議、検討及び協議に関連して作成され、又は取得された情報を指す。

国の機関等の最終的な決定前の事項に関する情報を開示することによってその意思決定が損なわれないようにする必要があるが、すべて不開示とすることは適当ではない。そこで開示することによって行政機関等の適正な意思決定に支障を及ぼすおそれの有無及び程度を個別具体的に考慮して、不開示とされる情報の範囲を画する。具体的には、以下に該当するものである。

① 開示することにより、外部からの圧力や干渉等の影響を受けることなどにより、率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがある場合には不開示とすることができる。

ア 「率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ」とは、開示することにより、外部からの圧力、干渉等の影響を受けることなどにより、率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれをいい、適正な意思決定手続の確保を保護利益とするものである。

② 未成熟な情報や事実関係の確認が不正確な情報を開示することにより、誤解や憶測を招き、不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれがある場合には、不開示とすることができる。適正な意思決定を行うことそのものを保護するものではない。

ア 「不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれ」とは、未成熟な情報や事実関係の確認が不十分な情報等を開示することにより、誤解や憶測を招き、不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれをいう。適正な意思決定を行うことそのものを保護するのではなく、情報が開示されることによる国民への不当な影響を生じさせないようにする趣旨である。

③ 尚早な時期に、あるいは事実関係の確認が不十分なままで情報を開示することにより、不正な投機を助長するなどして、特定の者に不当な利益を与え又は不利益を及ぼすおそれがある場合には不開示とすることができる。

ア 「特定の者に不当な利益を与え若しくは不利益を及ぼすおそれ」とは、尚早な時期に、あるいは事実関係の確認が不十分なままで情報を開示することにより、不正な投機を助長するなどして、特定の者に不当に利益を与え又は不利益を及ぼすおそれをいい、事務及び事業の公正な遂行を図るとともに、国民への不当な影響が生じないようにする趣旨である。

(2) 以上にいう「不当に」というのは、審議、検討等途中の段階の情報を開示することの必要性を考慮してもなお、適正な意思決定の確保等への支障が看過し得ない程度のものを意味する。予想される支障が「不当」なものかどうかの判断にあたっては、当該情報の性質に照らし、開示することによる利益と不開示とすることによる利益とを比較衡量して判断する。

なお、意思決定後の取扱いについては、上記の不開示情報に該当する場合は少なくなるが、当該意思決定が全体として一つの政策決定の一部の構成要素である場合、当該意思決定を前提として次の意思決定が行われる等審議、検討等の過程が重層的又は連続的である場合には、政策全体の意思決定又は次の意思決定に関して該当するかどうかの判断が必要となる。

また、審議、検討等が終了し、意思決定が行われた後であっても、当該審議、検討等の情報が開示することにより、国民の間に混乱を生じさせるおそれがある場合、将来予定されている同種の審議、検討等にかかる意思決定に不当な影響を与えるおそれがある場合は、不開示情報とすることができる。

5 国の機関等が行う事務又は事業に関する情報(法第78条第7号)

国の機関等が行う事務又は事業に関する情報であって、開示することにより、国の機関等の事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある事務又は事業の適正な遂行に支障をおそれがある情報を不開示情報とする。具体的には、以下の①から⑦までの「おそれ」を例示的に掲げ、それ以外に「事務又は事業の性質上」、適正な事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの、例えばある個別の事務又は事業に関する情報を開示すると、将来の同種の事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの等については包括的に不開示情報とする。

(1) 「当該事務又は事業の性質上、適正な遂行に支障を及ぼすおそれ」とは、当該事務又は事業の本質的な性格、具体的には、当該事務又は事業の目的、その目的達成のための手法等に照らして、その適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるかどうかを判断することになる。恣意的な判断を許容する趣旨ではなく、各規定の要件の該当性は客観的に判断される必要があり、また、事務又は事業の根拠となる規定・趣旨に照らし、個人の権利利益を保護する観点からの開示の必要性等の種々の利益を衡量した上で、「適正な遂行」といえるものであることが求められる。

(2) 「支障」の程度は、名目的なものでは足りず実質的なものが要求され、「おそれ」の程度も単なる可能性ではなく、法的保護に値する蓋然性があると認められるかどうかにより判断する。

① 国の安全が害されるおそれ、他国若しくは国際機関との信頼関係が損なわれるおそれ又は他国若しくは国際機関との交渉上不利益を被るおそれ(法第78条第7号イ)

ア 「国の安全」とは、国家の構成要素である国土、国民及び統治体制が害されることなく平和で平穏な状態が保たれていること、すなわち、国としての基本的な秩序が平穏に維持されている状態をいう。「国の安全が害されるおそれ」とは、これらの国の重大な利益に対する侵害のおそれをいう。

イ 「他国若しくは国際機関との信頼関係が損なわれるおそれ」とは、「他国若しくは国際機関」(以下「他国等」という。)との間で、相互の信頼に基づき保たれている正常な関係に支障を及ぼすおそれをいう。例えば、開示することにより、他国等との取決め又は国際慣行に反することとなる、他国等の意思に一方的に反することとなる、他国等に不当に不利益を与えることとなるなど、我が国との関係に悪影響を及ぼすおそれがある情報が該当する。

ウ 「他国若しくは国際機関との交渉上不利益を被るおそれ」とは、他国等との現在進行中の又は将来予想される交渉において、我が国が望む交渉成果が得られなくなる、我が国の交渉上の地位が低下する等のおそれをいう。

② 犯罪の予防、鎮圧又は捜査その他の公共の安全と秩序を維持に支障を及ぼすおそれ(法第78条第7号ロ)

ア 「犯罪の予防」とは、犯罪の発生を未然に防止することをいう。「犯罪の鎮圧」とは、犯罪が正に発生しようとするのを未然に防止し、又は犯罪が発生した後において、その拡大を防止し、又は終息させることをいう。「犯罪の捜査」とは、捜査機関が犯罪があると思料するときに、公訴の提起等のために犯人及び証拠を発見、収集又は保全することをいう。

イ 「その他の公共の安全と秩序の維持」とは、犯罪の予防、鎮圧又は捜査、公訴の維持及び刑の執行に代表される刑事法の執行を中心としたものを意味する。刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)以外の特別法により、臨検、捜査、差押え、告発等が規定され、犯罪の予防・捜査とも関連し、刑事司法手続に準ずるものと考えられる犯則事件の調査、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和22年法律第54号)違反の調査等や、犯罪の予防・捜査に密接に関連する破壊的団体(無差別大量殺人行為を行った団体を含む。)の規制、暴力団員による不当な行為の防止、つきまとい等の規制、強制退去手続に関する情報であって、開示することにより、公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあるものが該当する。

また、開示することにより、テロ等の人の生命、身体、財産等への不法な侵害や、特定の建造物又はシステムに対する不法な侵入・破壊を招くおそれがあるなど、犯罪を誘発し、又は犯罪の実行を容易にするおそれがある情報及び被疑者又は被告人の留置又は勾留に関する施設保安に支障を生ずるおそれのある情報も該当する。

一方、一般に公にしても犯罪の予防、鎮圧等に支障が生じるおそれのない行政警察活動に関する情報については、法第78条第7号の他の規定により判断する。

③ 監査、検査、取締り、試験又は租税の賦課若しくは徴収に係る事務に関し、正確な事実の把握を困難にするおそれ又は違法若しくは不当な行為を容易にし、若しくはその発見を困難にするおそれ(法第78条第7号ハ)

「監査」(主として監察的見地から、事務又は事業の執行又は財産の状況の正否を調べること。)、「検査」(法令の執行確保、会計経理の適正確保、物資の規格、等級の証明等のために帳簿書類その他の物件等を調べること。)、「取締り」(行政上の目的による一定の行為の禁止又は制限について適法又は適正な状態を確保すること。)、「試験」(人の知識、能力等又は物の性能等を試すこと。)及び「租税の賦課若しくは徴収」(国又は地方公共団体が、公租公課を特定の人に割り当てて負担させること又は租税その他の収入金を取ること。)に係る事務は、いずれも事実を正確に把握し、その事実に基づいて評価又は判断を加えて、一定の決定を伴うことがある事務である。

これらの事務に関する情報の中には、例えば、監査等の対象、実施時期、調査事項等の詳細な情報、試験問題等のように、事前に開示すると、適正かつ公正な評価又は判断の前提となる事実の把握が困難となったり、行政客体における法令違反行為又は法令違反に至らないまでも妥当性を欠く行為を助長したり、巧妙に行うことにより隠蔽をするなどのおそれがあるものがあり、このような情報は不開示とする。また、事後であっても、例えば、監査内容等の詳細についてこれを開示すると今後の法規制を免れる方法を示唆することになるようなものは、法第14条第5号ハに該当しうる。

④ 契約、交渉又は争訟に係る事務に関し、国、独立行政法人等、地方公共団体又は地方独立行政法人の財産上の利益又は当事者としての地位を不当に害するおそれ(法第78条第7号ニ)

本学が一方の当事者となる契約、交渉又は争訟に係る事務に関する情報の中には、例えば、用地取得等の交渉方針や用地買収計画案を開示することにより、適正な額での契約が困難になり財産上の利益が損なわれたり、交渉、争訟等の対処方針等を開示することにより、当事者として認められるべき地位を不当に害するおそれがあるものがあり、このような情報は不開示とする。

⑤ 調査研究に係る事務に関し、その公正かつ能率的な遂行を不当に阻害するおそれ(法第78条第7号ホ)

本学が行う調査研究に係る事務に関する情報の中には、例えば、①知的所有権に関する情報、調査研究の途中段階の情報等であって、一定の期日以前に開示することにより成果を適正に広く国民に提供する目的を損ね、特定の者に不当な利益や不利益を及ぼすおそれがあるもの、②試行錯誤の段階の情報について開示することにより、自由な発想、創意工夫や研究意欲が不当に妨げられ、減退するなど、能率的な遂行を不当に阻害するおそれがあるものがあり、このような情報は不開示とする。

⑥ 人事管理に係る事務に関し、公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれ(法第78条第7号ヘ)

本学が行う人事管理(職員の任免、懲戒、給与、研修その他職員の身分、能力等の管理に関すること。)に係る事務は、当該機関の組織としての維持の観点から行われ、一定の範囲で当該組織の自律性を有するものである。人事管理に係る事務に関する情報の中には、開示することにより、公正かつ円滑な人事の確保が困難になるおそれがあるものがあり、このような情報は不開示とする。

⑦ 独立行政法人等、地方公共団体が経営する企業又は地方独立行政法人に係る事業に関し、その企業経営上の正当な利益を害するおそれ(法第78条第7号ト)

独立行政法人等、地方公共団体が経営する企業又は地方独立行政法人に係る事業に関連する情報については、企業経営という事業の性質上、企業経営上の正当な利益を保護する必要があり、これを害するおそれがあるものは不開示とする。ただし、正当な利益の内容については、経営主体、事業の性格、内容等に応じて判断する必要があり、その範囲は、本要項3の法人等の場合(法第78条第3号)とは異なり、より狭いものとなる場合があり得ることに留意する。

四 部分開示に関する基準(法第79条)

開示請求に係る保有個人情報について、法第79条に基づき部分開示をすべき場合に該当するかどうかの判断は、以下の基準により行う。

1 開示請求に係る保有個人情報に不開示情報が含まれている場合において、不開示情報に該当する部分を容易に区分して除くことができるときは、開示請求者に対して、当該部分を除いた部分につき開示しなければならない。(法第79条第1項)

(1) 「開示請求に係る保有個人情報に不開示情報が含まれている場合」とは、開示請求について審査した結果、開示請求に係る個人情報に、不開示情報に該当する情報が含まれている場合をいう。この場合には、部分的に開示できるか否かの判断を行わなければならない。

(2) 「容易に区分して除くことができるとき」について

ア 当該保有個人情報のどの部分が不開示情報に該当するかという区分けが困難な場合だけでなく、区分けは容易であるがその部分の分離が技術的に困難な場合も部分開示を行う義務はない。「区分」とは、不開示情報に該当する部分とそれ以外の部分とを概念上区分けすることを意味し、「除く」とは、不開示情報に該当する部分を、当該部分の内容が分からないように墨塗り、被覆等を行うなど、加工することにより、情報の内容を消滅させることをいう。

イ 保有個人情報に含まれる不開示情報を除くことは、当該保有個人情報が文書に記録されている場合、文書の複写物に墨を塗り再複写するなどして行うことができ、一般的には容易であると考えられる。一方、録音テープ、ビデオテープ、磁気テープ等に記録された保有個人情報については、区分して除くことの容易性が問題となる。例えば、複数の人の発言が同時に録音されているがそのうちの一人から開示請求があった場合や、録画されている映像中に開示請求者以外の者が映っている場合などがあり得る。このような場合には、不開示情報を容易に区分して除くことができる範囲で、開示すべき部分を決定する。

なお、電磁的記録に記録された保有個人情報については、紙に出力した上で、不開示情報を区分して除いて開示することも考えられる。電磁的記録をそのまま開示することを求められた場合は、不開示情報の部分のみを削除することの技術的可能性等を総合的に判断する必要がある。既存のプログラムでは行えない場合は、「容易に区分して除くことができるとき」に該当しない。

(3) 「当該部分を除いた部分につき開示しなければならない」とは、義務的に開示すべき範囲を定める趣旨である。なお、部分開示の実施に当たり、具体的な記述をどのように削除するかについては、本法の目的に沿った合目的的な裁量に委ねられている。すなわち、不開示情報の記録部分の全体を完全に黒く塗るか、文字を判読できない程度に被覆するか、当該記録中の主要な部分だけ塗り潰すかなどの方法の選択は、不開示情報を開示したことにならない範囲内において、当該方法を講ずることの容易さ等を考慮して判断することとなる。その結果、観念的には一まとまりの不開示情報を構成する一部が開示されることになるとしても、実質的に不開示情報が開示されたと認められないのであれば、不開示義務に反するものではない。

2 開示請求に係る保有個人情報に開示請求者以外の特定の個人を識別できる情報が記録されている場合(法第79条第2項)

(1) 当該情報のうち、氏名、生年月日その他の開示請求者以外の特定の個人を識別することができることとなる記述等の部分を除くことにより、残りの部分を開示しても、開示請求者以外の個人の権利利益の保護の観点から支障が生じないと認められるときは、当該残りの部分については、法第78条第2号に規定する不開示情報に該当しないものとして取り扱う。したがって、当該部分は、他の不開示情報の規定に該当しない限り、法第79条第1項の規定により開示することになる。ただし、容易に区分して除くことができるかどうかが要件となるので、個人を識別させる要素とそれ以外の部分とを容易に区分して除くことができない場合には、当該個人に関する情報は全体として不開示とする。

(2) 開示請求者以外の特定の個人を識別させる要素を除去し誰の情報であるかが分からなくなっても、開示することが不適当であると認められる場合もあることに留意する。例えば、作文などの個人の人格と密接に関連する情報や、個人の未発表の論文等を開示すると個人の権利利益を害するおそれのあるものは不開示とする。

五 裁量的開示に関する基準(法第80条)

開示請求に係る保有個人情報に不開示情報が含まれている場合であっても、個人の権利利益を保護するために特に必要があると認めるときは、開示請求者に対して、当該保有個人情報を開示することができる。

「個人の権利利益を保護するために特に必要があると認めるとき」とは、法第78条各号の不開示情報に該当する情報であるが、高度な判断により、当該個人の権利利益を保護するために特に開示する必要があると認められる場合をいう。法第78条各号においても、当該規定により保護する利益と当該情報を開示することによる利益との比較衡量が行われる場合があるが、ここでは、法第78条の規定が適用され不開示となる場合であっても、なお開示する必要性があると認められる場合には、開示することができるものとする。

六 保有個人情報の存否に関する情報に関する基準(法第81条)

開示請求に対して、当該開示請求に係る保有個人情報が存在しているか否かを答えるだけで、不開示情報を開示することになるときは、当該保有個人情報の存否を明らかにしないで、当該開示請求を拒否することができる。

1 「開示請求に係る保有個人情報が存在しているか否かを答えるだけで、不開示情報を開示することになるとき」とは、開示請求に係る保有個人情報が実際あるかないかにかかわらず、開示請求された保有個人情報の存否について回答すれば、開示請求に含まれる情報を結合することにより、実質的に不開示情報を開示することとなる場合をいう。例えば、本人以外の者が行った苦情相談に関する情報について、本人から開示請求があった場合等が考えられる。

当該保有個人情報の存否を明らかにしないで、当該開示請求を拒否する場合に行政手続法(平成5年法律第88号)第8条に基づき示さなければならない処分の理由については、当該情報の性質、内容、開示請求書の記載内容等を踏まえ、請求のあった保有個人情報の存否を答えることにより、どのような不開示情報を開示することになるかどうかをできる限り具体的に提示する。また、存否を明らかにしないで拒否することが必要な類型の情報については、常に存否を明らかにしないで拒否しなければならない。

七 訂正決定等の審査基準

開示を受けた自己を本人とする保有個人情報の内容が事実でないと思料する者から、その訂正請求(法第90条第1項)がなされた場合、その訂正が他の法律又はこれに基づく命令の規定により特別の手続が定められているときを除いて、当該訂正請求に理由があると認めるときは、当該訂正請求に係る保有個人情報の利用目的の達成に必要な範囲内で、当該保有個人情報の訂正(追加又は削除を含む)をしなければならない(法第92条)。訂正請求に対する訂正する旨の決定又は訂正しない旨の決定(法第93条、以下「訂正決定等」という。)は、以下により行う。

1 訂正請求権の対象となるのは、自己を本人とする保有個人情報全てではなく、開示決定により自己を本人とする保有個人情報として開示を受ける範囲が確定された次のもの(法第90条第1項第1号及び第2号)に限る。つまり、①開示決定に基づき開示を受けた保有個人情報、及び②開示決定に係る保有個人情報であって、他の法令の規定により開示を受けたものである。

2 訂正請求ができるのは、「内容が事実でないと思料するとき」に限られるが、これは「正確性の確保」の趣旨を実行あらしめるためである。したがって、訂正請求の対象は「事実」であって、評価・判断に及ばない。訂正制度のねらいは、誤った個人情報の利用に基づき誤った評価・判断が行われることを防止しようとするものであり、評価・判断は個人情報の内容だけでなく、様々な要素を勘案してなされるものであるからである。ただし、評価した行為の有無、評価に用いられたデータ等は事実に当たる。

3 「訂正請求に理由がある」とは、調査等の結果、請求どおり保有個人情報が事実でないことが判明したときのことをいう。訂正をしなければならないのは、「利用目的の達成に必要な範囲内」である。訂正請求に係る保有個人情報の利用目的に照らして、訂正の必要がないときは、訂正する義務はない。請求内容に理由があるかどうかを判断するために行う調査は、保有個人情報の利用目的の達成に必要な範囲で行えばよく、訂正することが利用目的の達成に必要でないことが明らかな場合は、特段の調査を行う必要はない。具体例としては、過去の事実を記録することが利用目的であるものについて現在の事実に基づいて訂正することを請求するような場合が考えられる。適切な調査等を行ったにもかかわらず、事実関係が明らかにならなかった場合には、当該請求に理由があると確認できないことになるから訂正決定を行うことはできない。ただし、事実関係が明らかでない旨を追記する等の適切な措置を講じておくことが適当な場合もあり得る。

4 訂正しない旨の決定(法第93条第2項)は、次のいずれかに該当する場合に行う。

(1) 保有個人情報の訂正に関して法以外の法律又は当該法律に基づく命令の規定により特別の手続が定められている場合

(2) 法第90条第1項各号に規定する保有個人情報に係る訂正請求でない場合

(3) 保有個人情報の開示を受けた日から90日以内に行われた訂正請求でない場合

(4) 訂正請求書に法第91条第1項各号に規定する事項の記載の不備がある場合又は同条第2項に規定する訂正請求に係る保有個人情報の本人であること(未成年若しくは成年被後見人の法定代理人又は本人の委任による代理人であること。)を示す書類に不備がある場合。ただし、当該不備を補正することができると認められる場合は、原則として、訂正請求者に補正を求めるものとする。

(5) 調査等の結果、訂正請求に係る保有個人情報が事実でないことが判明しない場合又は事実関係が明らかにならなかった場合

(6) 訂正をすることが、当該保有個人情報の利用目的の範囲を超える場合

(7) 調査の結果判明した事実が、請求時点において実際に記録されていた内容とも、請求の内容とも異なることが判明した場合。ただし、必要な場合は、判明した事実に即して、職権により訂正を行うものとする。

八 利用停止決定等の審査基準

自己を本人とする保有個人情報が、次のいずれかに該当すると思料するときは、当該保有個人情報を保有する本学に対して、当該各号に定める当該保有個人情報の利用の停止、消去又は提供の停止(以下「利用停止」という。)を請求できる(法第98条第1項)

法第101条の規定に基づく利用停止をする旨又は利用停止をしない旨の決定(以下「利用停止決定等」という。)は、以下により行う。

1 利用停止をする旨の決定(法第101条第1項)は、請求に係る保有個人情報が次のいずれかに該当し、当該請求に理由があると認める場合に、当該保有個人情報の利用の停止又は消去を行う。

(1) 特定された利用の目的の達成に必要な範囲を超えて保有している場合(法第61条第2項、番号法第9条各項)。また、法第61条第3項に違反して、当初の利用目的と相当の関連性を有すると合理的に認められる範囲を超えて利用目的の変更を行っている場合も含まれる。

(2) 偽りその他不正の手段により個人情報を取得した場合(法第64条)

(3) 法令に基づく場合を除いて、利用目的以外の目的のために保有個人情報を自ら利用している場合(法第69条第1項、番号法第30条第2項)

ただし、本人又は第三者の権利利益を不当に侵害するおそれがあると認められることがなく、特定個人情報を除く保有個人情報については次のア、イ、ウ及びエに、特定個人情報については次のオに該当するときは利用の停止又は消去は必要でない(法第69条第2項、番号法第30条第2項)

ア 本人の同意があるとき、又は本人に提供するとき。

イ 本学が法令の定める業務の遂行に必要な限度で保有個人情報を内部で利用する場合であって、当該保有個人情報を利用することについて相当な理由があるとき。

ウ 行政機関(法第2条第8項に規定する行政機関)、他の独立行政法人等、地方公共団体又は地方独立行政法人に保有個人情報を提供する場合において、保有個人情報の提供を受ける者が、法令の定める事務又は業務の遂行に必要な限度で提供に係る個人情報を利用し、かつ、当該個人情報を利用することについて相当な理由があるとき。

エ 以上の場合のほか、専ら統計の作成又は学術研究の目的のために保有個人情報を提供するとき、本人以外の者に提供することが明らかに本人の利益になるとき、その他保有個人情報を提供することに特別の理由があるとき。

オ 人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意があり、又は本人の同意を得ることが困難であるとき。

(4) 特定個人情報を除く保有個人情報が法第69条第1項及び第2項に違反して提供されているときは、当該保有個人情報の提供を停止し、特定個人情報が番号法第19条第2号、第5号、第11号、第12号、第13号及び第14号に違反して提供されているときは、当該特定個人情報の提供を停止する。

2 利用停止請求がなされた場合において、当該利用停止請求に理由があると認めるときは、本学における個人情報の適正な取扱いを確保するために必要な限度で、当該利用停止請求に係る保有個人情報の利用停止をしなければならない。ただし、当該保有個人情報の利用停止をすることにより、当該保有個人情報の利用目的に係る事務又は事業の性質上、当該事務又は事業の適正な遂行に著しい支障を及ぼすおそれがあると認められるときは、この限りでない。

(1) 「利用停止請求に理由があると認められるとき」とは、1.に該当する違反の事実があると認めるときである。その判断は、所掌事務、保有個人情報の利用目的及び個人情報保護法の趣旨を勘案して、事実を基に客観的に行われる必要がある。

(2) 利用停止義務が生ずるのは、「個人情報の適正な取扱いを確保するために必要な限度」であるが、「必要な限度」とは、例えば、利用停止請求に係る保有個人情報について、そのすべての利用が違反していればすべての利用停止を、一部の利用が違反していれば一部の利用停止を行う必要があるということである。また、例えば、利用目的外の利用を理由として、本人から保有個人情報の消去を求められた場合には、個人情報の適正な取扱いを確保する観点から、当該利用目的外の利用を停止すれば足りる。この場合、当該保有個人情報を消去するまでの必要はなく、仮に消去してしまうと、本来の利用目的内での利用も不可能となり、適当ではない。

3 利用停止しない旨の決定(法第101条第2項)は、次のいずれかの該当する場合に行う。

(1) 保有個人情報の利用停止に関して法以外の法律又は当該法律に基づく命令の規定により特別の手続が定められている場合

(2) 法第98条第1項各号に規定する保有個人情報に係る利用停止請求でない場合

(3) 保有個人情報の開示を受けた日から90日以内に行われた利用停止請求でない場合

(4) 利用停止請求書に法第99条第1項各号に規定する事項の記載の不備がある場合又は同条第2項に規定する利用停止請求に係る保有個人情報の本人であること(未成年者若しくは成年被後見人の法定代理人又は本人の委任による代理人であること。)を示す書類に不備がある場合。ただし、当該不備を補正することができると認められる場合は、原則として、利用停止請求者に補正を求めることができる。

(5) 利用停止請求に理由があるとは認められない場合

(6) 利用停止することにより当該保有個人情報の利用目的に係る事務の性質上、当該事務の適正な遂行に著しい支障を及ぼすおそれがあると認められる場合

九 附則

1 この要項の改廃は、福島大学情報公開・個人情報保護委員会の議を経て、学長が定める。

2 この要項は、平成17年4月1日から施行する。

この要項は、平成25年4月1日から施行する。

この要項は、平成28年1月1日から施行する。

この要項は、平成31年4月1日から施行する。

この要項は、令和4年4月1日から施行する。

この要項は、令和5年9月22日から施行する。

国立大学法人福島大学の保有する個人情報の開示決定等に関する取扱要項

平成17年4月1日 種別なし

(令和5年9月22日施行)

体系情報
福島大学規則集/第3編
沿革情報
平成17年4月1日 種別なし
平成25年3月29日 種別なし
平成27年12月28日 種別なし
平成31年3月19日 種別なし
令和4年3月31日 種別なし
令和5年9月22日 種別なし