○福島大学職員のためのハラスメント防止指針

平成23年3月29日

この指針は、本学の構成員であるすべての職員(教育職員、事務系職員、パートタイム職員、嘱託職員、契約職員等、常勤・非常勤を問いません。)に適用されます。職員自身がハラスメントを「される側」に立つ場合と「する側」に立つ場合と、両方を想定してその防止策を講じています。そして職員一人ひとりが自分の立場を自覚し、ハラスメントを許さないという共通の認識を持って行動するための、基本的な行動指針を定めるものです。

1 意識向上の重要性

ハラスメント行為をしないようにするために、職員は他の職員、学生(学類並びに大学院の学生(外国人留学生含む)のほか、研究生、科目等履修生など、福島大学で教育を受けるあらゆる身分のものをさします。)及び関係者と接するに当たり、次の事項の重要性について十分認識しなければなりません。

(1) お互いの人格を尊重しあうこと。

(2) お互いが大切なパートナーあるいは共同の構成員であるという意識を持つこと。

(3) 相手を劣った存在として見る意識をなくすこと。

2 基本的な心構え

職員は、ハラスメントに関する次の事項について十分認識しなければなりません。

(1) ハラスメント全般に共通する事項

① 相手が拒否し、又は嫌がっていることが分かった場合には、同じ言動を決して繰り返してはならないこと。

② ハラスメントであるか否かについて、相手からいつも意思表示があるとは限らないこと。

ハラスメントを受けても、相手が上司や指導教員であるため、強く抗議したり拒絶したりすることができないなど、当人からいつも明確な意思表示があるとは限りませんが、それを同意・合意と勘違いしてはいけません。

③ 勤務時間内又は職場内におけるセクシュアル・ハラスメントにだけ注意するのでは不十分であること。

例えば、職場の人間関係がそのまま持続する歓迎会、ゼミナールの酒席等の場において、職員が他の職員、学生にハラスメントを行うことについても同様に注意しなければなりません。

(2) セクシュアル・ハラスメントに関する事項

① 性に関する言動に対する受け止め方には個人間や男女間、その人物の立場等により差があり、セクシュアル・ハラスメントに当たるか否かについては、それを受けた当人の判断が重要であること。

具体的には、次の点について注意が必要です。

a 親しさを表すつもりの言動であったとしても、本人の意図とは関係なく相手を不快にさせてしまう場合があること。

b 不快に感じるか否かは個人差があること。

c この程度のことは相手も許容するだろうという勝手な憶測をしてはならないこと。

d 相手との良好な人間関係ができていると勝手な思い込みをしてはならないこと。

(3) アカデミック・ハラスメントに関する事項

① 指導教員が、指導を受ける者に、当人の教育・研究上必要のない用務や教員の私的な用務を行うよう、要求しないこと。また、この場合、指導を受ける者がこの要求に応じないときに、報復的な差別的行為を行ったり、不適切な指導や評価をしないこと。

② 正当な理由なく、研究のために必要な文献、図書、資料、機器類等の使用を制限したり、廃棄したりして研究活動を妨げないこと。

(4) パワー・ハラスメントに関する事項

① 指導的立場にある者が指導を受ける者に対して、失敗やミスを過度に追及したり、必要以上に人前で大声で叱責したりしないこと。

② 指導の名のもとに、感情的な言動や憂さ晴らしの言動を行わないこと。

教育・訓練の意図から行われたとしても、それが行き過ぎると相手の人格などを傷つける場合もありうるので、注意が必要です。

③ 上の地位に立つ者は、自分がかつて置かれていた立場を振り返って行動すること。また同時に、自分の過去の経験を基準にして安易に判断しないこと。

「前から行われてきた慣習だから」といった考えは捨て、いま、皆が快適に過ごせる環境づくりを心掛けることが重要です。

(5) 妊娠、出産、育児休業及び介護休業等に関するハラスメントに関する事項

① 妊娠、出産、育児休業及び介護休業等に関する制度の請求・利用に関して、繰り返し又は継続的に嫌がらせ等(嫌がらせ的な言動、業務に従事させないこと、専ら雑務に従事させること等)をしないこと。

② 職員及び学生が妊娠したこと、出産したことその他の妊娠又は出産等に関する言動により就業環境又は修学環境を害することをしないこと。

妊娠、出産、育児休業及び介護休業等に関する否定的な言動や行動がハラスメントの発生原因や背景になるため、注意が必要です。

3 ハラスメントになり得る言動

ハラスメントになり得る言動は、別掲1~5のとおりである。

4 就労上又は修学上の適正な環境を確保するために認識すべき事項

就労上又は修学上の環境は、職員、学生及び関係者の協力の下に形成される部分が大きいことから、ハラスメントにより就労上又は修学上の環境が害されることを防ぐため、職員は、次の事項について常に意識するように努めなければなりません。

① ハラスメントについて問題提起をする職員、学生及び関係者をいわゆるトラブルメーカーと見たり、ハラスメントに関する問題を当事者間の個人的な問題として片づけたりしないこと。

ミーティングを活用することなどにより解決することができる問題については、問題提起を契機として、就労上又は修学上の適正な環境の確保のために皆で取り組むことを日頃から心がけることが必要です。

② ハラスメントの加害者や被害者を出さないようにするために、周囲に対する気配りをし、必要な行動をとること。

具体的には、次の事項について十分留意して行動をとることが必要です。

(1) ハラスメントが見受けられる場合は、注意を促すこと。

ハラスメントを契機として、就労上又は修学上の環境に重大な悪影響が生じたりしないうちに、機会をとらえて注意を促すなどの対応をとることが必要です。

(2) 被害を受けていることを見聞きした場合には、声をかけて相談に乗ること。

被害者は「恥ずかしい」、「トラブルメーカーとのレッテルを貼られたくない」、「仕返しが怖い」などの考えから、他の人に相談することをためらうことがあります。被害を深刻にしないように、気が付いたことがあれば、声をかけて気軽に相談に乗ることが大切です。

③ 職場にハラスメントがある場合には、自分が直接の当事者でなくても、第三者として上司等に相談するなどの方法をとることをためらわないこと。

5 ハラスメントに起因する問題が生じた場合における留意事項

(1) 職員は、ハラスメントを受けた場合にその被害を深刻にしないために、次の事項について認識しておくことが望まれます。

① 我慢していたのでは、問題は解決しないこと。

ハラスメントを無視したり、受け流したりしているだけでは、状況は改善されないということをまず認識することが大切です。

② ハラスメントに対抗する行動をためらわないこと。

「トラブルメーカーというレッテルを貼られたくない」、「恥ずかしい」などと考えがちですが、被害を深刻なものにしない、他に被害者をつくらない、さらにはハラスメントをなくすことは自分だけの問題ではなく就労上又は修学上の適正な環境の形成に重要であるとの考えに立って、勇気を出して行動することが大切です。

(2) 職員はハラスメントを受けた場合、次のような行動をとるよう努めることが望まれます。

① 嫌だと思ったら、相手に対して明確に意思表示をすること。

ハラスメントと思われる行為に対しては毅然とした態度をとること、すなわち、はっきりと自分の拒絶の意思を相手に伝えることが重要です。しかし、背景に上下関係等が存在する場合には直接相手に言いにくい場合が考えられ、そうした場合には手紙・電子メール等の手段をとる方法もあります。ただし、相手に意思表示できなかった場合でも自分を責めずに、誰かに相談するようにしましょう。

② 信頼できる人に相談すること。

まず、同僚や友人等身近な信頼できる人に相談することが大切です。そこで解決することが困難な場合には、ハラスメント相談員に相談する方法を考えます。なお、相談するに当たっては、ハラスメントが発生した日時・内容等について記録したり、第三者の証言を得たりしておくことが望まれます。

6 ハラスメントの被害を受けているのを見た、知った場合の対応

① 相談窓口へ相談に行くよう勧めること。

まずは、相談窓口へ相談に行くよう、勧めてください。もし当人がひとりでは行けないというときは、同僚や友人と一緒に行くよう促しましょう。

② 同行して相談窓口に行くこと。

同僚又は友人と一緒に相談窓口へ行くこともできない場合は、職員自身が同行することも考えましょう。

③ 代わりに相談窓口へ行くこと。

本人がどうしても相談窓口へ行くことができない場合は、本人の同意を得て、代わりに相談窓口または対策室へ相談することを考えましょう。

④ ハラスメント行為を見た、知った場合には、被害を最小限にとどめるよう努力すること。

加害者とされた職員に対して、当該行為がハラスメントに当たるとして、やめるように注意しましょう。同時に、加害者とされた職員の部局長等に知らせることで、被害を最小限にとどめるようにしましょう。

ハラスメントになり得る言動の例

ハラスメントは、一般に「教員―学生」「教員―事務系職員」「上司―部下」「先輩―後輩」といったような、大学におけるいわゆる上下関係が基盤となって生じます。

(別掲1)セクシュアル・ハラスメントの事例

① 修学上、就労上の利益・不利益を与え得る関係を利用して性的な誘いかけをすること。

・ 試験の成績が悪く再試験を受けた科目で、再試験の後、教員が「二人で旅行に行こう」と学生を誘う。

・ 人事権、業務指揮権の行使に関連して、または利益・不利益を条件として、性的な働きかけをする。

② 性的要求への服従または拒否を理由に、修学上、就労上の利益・不利益に影響を与えること。

・ 指導中にたびたび学生の胸・腰などに手を触れることで、教員ないしはその他の指導者(学生・大学院学生を含む)が、その学生に不快感を与え、やる気を失わせる。

③ 性的言動や掲示等により、他の人に不快感を与えるような環境を作り出すこと。

・ 教員が学生にヌード写真集を見せる。

④ 相手が望まない性的誘いをかけたり、性的関心に基づいた態度を相手に要求すること。

・ 演習の親睦のためのコンパの席で一人一人があいさつをするとき、交際している相手がいるかなどについて、本人が答えたくないにもかかわらず質問をする。

・ 夜遅くまで残業していると、必ず帰りを待って自宅まで車で送ると誘う。

(別掲2)アカデミック・ハラスメントの事例

1 明らかにアカデミック・ハラスメントであるもの

① 年齢、性別、出身、心身の障害、疾病、容姿、性格、国籍等の個人的な属性を理由に、修学上の機会、条件、評価等で相手を差別したり又は排除したりすること。

・ 「○○出身者は馬鹿だ」と言う。

・ 嫌いなタイプの学生等に対して指導を拒否したり侮蔑的言辞を弄したりする。

② 私的な、又は一方的な要求又は拒否を、教育上の指導若しくは学業成績等に反映させること。

・ 指導を拒否する。

・ 正当な理由なく深夜や休日に指導を行う。

・ 就職や他大学進学に必要な推薦書を書かない。

③ 教育上の指導若しくは評価、利益又は不利益の与奪等を条件として、相手に私的な、もしくは一方的な働きかけを行うこと。

・ 「食事に付き合わないと指導しないよ」と言う。

④ 相手方の意に反する要求又は圧力等を与えることにより、修学、研究又は課外活動等を行う環境を害すること。

・ プライベートな行動に付き合うことを強制する。

・ 虚偽の噂を流す。

・ 教員が本来負担すべきコンパの会費、調査協力先への手みやげ代、アルバイト代など、金銭的な負担を強いる。

2 状況によっては、アカデミック・ハラスメントとなるもの

① 学生が納得する適切な指導がないままに、過度な課題を与えること。

・ 演習・セミナーの時間が他の研究室と比べて異様に長い。

② 学生の評価及び指導を、合理的理由もなく、他の学生等の面前で行うこと。

・ ささいなミスを大声で感情的に叱責する。

(別掲3)パワー・ハラスメントの事例

① 正当な理由なく、特定の人に重要な仕事を割り振らない。

② 経験や知識を無視した過大または複雑な仕事を割り振り、早急な実現を求め、実現できなかったり、不十分な点があると繰り返し非難したり、「無能」、「ばか」、「やめてしまえ」、「女だからだめだ」、「男のくせにだらしない」など、人格を侵害するような発言をする。

③ 部下の職務遂行上の失敗やミスを繰り返し追及したり、人前で大声で叱責したりする。

(別掲4)妊娠、出産、育児休業及び介護休業等に関するハラスメントの事例

① 制度の利用を請求したところ、個人的に請求を取り下げるような発言をする。

・ 「男のくせに育児休業をとるなんてあり得ない」と言う。

・ 「休むなら辞めてほしい」など解雇を示唆することを言う。

・ 「自分なら今の時期に妊娠しない。妊娠すべきではなかった」と言う。

② 制度を利用したところ、繰り返し又は継続的に嫌がらせ等をする。

・ 客観的にみて能力の発揮や継続就業に重大な悪影響が生じる場合等、就業する上で看過できない程度の支障が生じること。

・ 言葉によるものだけではなく、必要な仕事上の情報を与えない、これまで参加していた会議に参加させないこと。

③ 職員及び学生が妊娠したこと、出産したこと等に関する言動により就業環境又は修学環境を害する発言をする。

・ 妊娠の報告を受けた際に「他の人を雇いたいので早めに辞めてほしい」と言う。

・ 「妊娠はいつ休むか分からないから仕事は任せられない」と繰り返し又は継続的に発言し、仕事を与えないこと。

(別掲5)その他のハラスメントの事例

(アルコールハラスメント)

① 場を盛り上げると称して、アルコールのイッキ飲みや早飲み競争を行わせる。

② コンパなどの席で、アルコールが飲めない者、弱い者に飲酒を強要する。

(ジェンダーハラスメント)

① 女性の職員がお茶くみや掃除をするのを当然と考え、仕事で忙しくてやらない人がいると非難する。

② 歓送迎会やゼミナールのコンパで女性に必ずお酌をさせる。

この指針は、平成29年4月1日から施行する。

福島大学職員のためのハラスメント防止指針

平成23年3月29日 種別なし

(平成29年4月1日施行)

体系情報
福島大学規則集/第2編 事/第2章 その他
沿革情報
平成23年3月29日 種別なし
平成29年4月1日 種別なし