■ 学長メッセージ(新入生・在学生・保護者の皆さまへ)|2011.04.21

 未曽有の震災で被災された皆さまに心からお見舞い申し上げます。福島大学では被災された学生の皆さんへの入学料・授業料の免除措置や生活支援のための義援金活動をしつつ,皆さんが一日でも早く正常な生活に戻れるよう開講準備をしています。

 福島大学は,震災での建物被害は少なく,マグニチュード9.0という史上最大級の地震においても,また,その後の余震においても安全が保たれています。

 しかし,大変不幸なことに震災に伴う原発事故で放射能汚染に直面しています。原発事故の状況は,収束に向けた努力がされているものの,冷温停止状態までには,まだ予断を許さない状況が続くものと考えられますが、大気中への放射性物質の放出は,現在のところ抑えられており,そのレベルも低下しています。

 福島大学は今後も引き続き緊急事態発生に対応すべく「危機対策本部」を維持しつつ,皆さんの安全を確保するために,放射線と健康についての理解を深め,皆さんを迎える準備をしています。

 放射能被曝については,本学における汚染核種の分析も終了し,被曝予測量を正確に計算することができるようになりました。その結果,5月1日から1年間の大学屋外での被曝予測量は15.0mSvから6.8mSv,屋内では2.3mSvから1.1mSvとなっており,健康被害が発症する被曝量ではありません。また,大学構内で最も放射線強度が強いところで2.4μSv/時と4月19日に文部科学省が屋外活動の制限基準と定めた3.8μSv/時より低い値になっています。

 私たちは,学問の府として,この事実を踏まえ,単なる被害者としてだけではなく,人類初めての原発震災の事実を分析し,皆さんとともにその成果を人類史の中にとどめたいと考えています。

 保護者の皆さまにおかれましても,こうした状況下での新たな門出に不安をお持ちかと存じますが,大学は安全管理を徹底し,環境保全に努めてまいりますのでご理解のほどお願い申し上げます。


福島大学長  入戸野 修